So-net無料ブログ作成

「さぬきの夢」と「あごだし」について [食文化]

昨日の記事は、あごだしの汁に香川県産小麦を使ったうどんを合わせたものでした。
そこで、今日は「あごだし」とうどんの原料の小麦粉「さぬきの夢」とについて、少し蘊蓄を。

 

あごだし

 
まず、うどん・そばの出汁について。
うどん・そばの出汁は、地域によって違っています。

関東は、カツオ節や宗田節(ソウダカツオの節)がメインです。
関西は、昆布がメインに、鰹節・サバ節・ウルメイワシ節の混合節を使います。

讃岐うどんの出汁は、瀬戸内海で獲れるイワシの煮干し=イリコがメイン
イリコと昆布の出汁を使い、サバ節やカツオ節を入れるものもある。

で、あご出汁は?

アゴは、飛魚(トビウオ)の九州での名称。

tobiuo.jpg
wikipedia「トビウオ」より)

トビウオは九州から西日本の日本海沿岸で獲れていて、その煮干し「アゴ干し」が出汁に使われます。

ago.jpg
ネット商品ドットコム「あご煮干し」より)

特に北九州では、あごだしのうどんが食べられています。
福岡の「博多うどん」がそうです。
長崎の「五島うどん」は、トビウオを焼いて干した焼きアゴで出汁をとります。

うどんも含めた特徴は・・・

博多うどんは、アゴに、煮干、サバ節、鰹節、昆布の出汁で、太くてヤワヤワのうどん
五島うどんは、焼きアゴの出汁が使われ、コシが強いけど細いうどん

で、昨日のうどんは・・・・
博多うどん流のアゴ出汁の汁太いうどんを合わせたものでした。
だから博多うどんとは違っています。

ちなみに、讃岐うどんのチェーン店の出汁は・・・
「はまなるうどん」はイリコと昆布の出汁で、讃岐流です。
でも「丸亀製麺」はカツオ節メインに昆布と煮干し、アゴが加えてあって、本来の讃岐うどんとは違っています。

 

さぬきの夢

 

P1300361

昨日の記事のうどんに使われていた香川県産小麦粉の「さぬきの夢」について。

香川県のうどん用小麦粉の消費量は、全国の使用量の約23%をも占める第1位。
2位の埼玉県の2倍以上も消費している(2009年調査から)。

このダントツの実績をもとに、「うどん県」を名乗っているわけです。

しかし、さぬきうどんの原料の小麦粉は、ほとんどがオーストラリア産の「ASW」。
「オーストラリア・スタンダード・ホワイト」という日本のうどん用にブレンドした白い小麦粉です。
グルテンの量が多い小麦粉で、讃岐うどんの現在のようなコシの強さは、そのおかげです。

しかし、香川県産小麦でさぬきうどんを作ろう!ということになり、独自の品種が開発された。

「さぬきの夢2000」が最初に開発された品種。
2000年に命名されたから「2000」なんです。
現在は、その後継品種の「さぬきの夢2009」が生産されています。
「2009」の方が、淡黄色でグルテンが多い。

そしてそれを小麦粉にしたものが「さぬきの夢」
今後、新品種が出てきても、このシリーズ名を使うことになったそうです。
現在、香川県の小麦はすべて「さぬきの夢2009」になっています。

しかし香川県のうどん用小麦粉のわずか5%程度にしかならない。
まだまだASWが圧倒的優位の状況にあります。

「さぬきの夢」のグルテン量は、オーストラリア産小麦粉のASWに比べて少ない。
製麺の仕方をASWとは違って工夫しないと、強いコシのある讃岐うどんにならないようです。
小麦粉の値段のこともあって、ASW優位なんですね。 

P1300358

昨日の店はそんな小麦粉「さぬきの夢」を香川県から取り寄せてうどんに製麺します。

ただしうどんの食感は讃岐うどんみたいに「コシが強い」ってものではなかった。 
コシよりもモチモチ感があるうどんでした。
理由は、小麦粉のせいなのか、製麺のせいなのか。わかりません。

というわけで、昨日のうどんは博多うどんみたいなアゴ出汁に太くてモチモチしたうどんでした。


nice!(8)  コメント(4) 
共通テーマ:グルメ・料理

小柱と青柳、そしてバカガイの由来の新説 [食文化]

 

小柱は何の貝柱?


昨日の記事にあった小柱

その小柱は、何の貝の貝柱なのかご存知ですか?

アオヤギ(青柳)の貝柱!

・・・という答えは、半分正解。

「アオヤギ」は、その貝をむき身にしたものの名。
貝自体の名称ではないんですよ。 

じゃぁアオヤギの貝の和名は・・・

「バカガイ」

そのバカガイの貝柱が「小柱」
そしてバカガイの剥き身が「アオヤギ」
むき身から内臓を取り去った足の部分は「舌切り」と言います。

干物もあって、剥き身を干したものが「桜貝」。みりんで味付けしたりしてます。
剥き身を足の部分を細く引き伸ばしたものが「姫貝」で、愛媛県の名物です。

 

以上は、前振り。
本題は、アオヤギとバカガイの名の由来です。

続きを読む


nice!(10)  コメント(2) 
共通テーマ:日記・雑感

「海の精」と国産の自然海塩 [食文化]

「海の精」という塩をいただいきました。
 ⇒海の精ショップファンサイト参加中

海の精 あらしお 170g 

それに同封されたパンフレット読んで、塩造りのことを少し調べてみました。

そして、国産の自然海塩って、なるほど、いったいどれなんだろう・・・と改めて思いました。

P1230387
『正しい塩の選び方』と小さな「海の精 塩ストーリィ」。

 

塩の作り方

 

塩の作り方についてし紹介しましょう。

P1220901
NPO法人日本食用塩研究会の「正しい塩の選び方」というパンフレット。

P1220902
「自然海塩」について、いろいろ解説があります。

P1230388
【日本の塩づくりの歴史】
縄文時代からの「直煮式」。
ホンダワラ(玉藻)に海水をかけて濃縮させる「藻塩式」。

揚浜式」は、塩砂の上に桶で海水をまいて海水を濃縮させる方法。
NHKの朝ドラ「まれ」で田中泯さんが演じる製塩職人・桶作元治能登で行っていた製法です。

入浜式塩田」は、潮の干満の差を利用して海水を引き入れる方法で、江戸時代から瀬戸内で行われていた。 

そして第二次大戦後の1952~59年に、ポンプを利用する「流化式塩田」に転換します。
JTのHPにとってもわかりやすいの図があります。 

流下式塩田の構造
(JTのHP:「日本の塩」)

地表面に粘土を張って、ゆるい傾斜をつけた「流下盤(りゅうかばん)」にポンプで吸い上げた海水を流し、太陽熱で水分を蒸発させます。それを竹の枝を組んだ「枝条架(しじょうか)」の上から滴下させ、風力によって蒸発させて「かん水」を採る。
それを煮詰めて塩にします。

で、「海の精」は・・・   

続きを読む


nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

タイの「マトゥーム」って、なに? [食文化]

P1220509
昨日の記事で紹介したタイ料理店でいただいた「マトゥンジュース」。
キャラメルのような甘くて香ばしい味です。

その原料「マトゥン」のことを書きましょう。  

タイ語でมะตูม」(Matoom: マトゥームという果実。

これが生の果実の写真です。

Bael (Aegle marmelos) fruit at Narendrapur W IMG 4099
(wikipedia「Aegle marmelos」:https://en.wikipedia.org/wiki/Aegle_marmelosより)

皮というか殻が硬く、中はこんな感じ。

Bael15 Mounts Asit
(wikipedia「Aegle marmelos」:https://en.wikipedia.org/wiki/Aegle_marmelosより)

9460400694_4f7eaf743a
野暮天ワールドワイド・YABOTEN the Worldwideの記事より)
硬い殻をとって薄く切って乾燥させたものが売られています。
それを煮出して、茶にしたり、砂糖を加えてジュースにします。

タイ伝統医療で使うサムンプライ(薬草)の一種だそうです。

 

さてそのタイの「マトゥーム」。
お店では「花梨(カリン)?柑橘?」と書いてあったんですが、さて何の種類の果実なのか?

 

続きを読む


nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

山わさび=西洋わさび=ホースラディッシュのこと [食文化]

P1220186

昨日の記事にあった「西洋わさび」のこと。

西洋わさび」をご存知でしたか?

英語名の「ホースラディッシュ」は?
すりおろして、ビーフステーキやローストビーフの薬味にするから、ご存知の方も多いはず。

しかしその西洋わさびの使用範囲は、それだけではなく、実は私たちの食卓で頻繁に使われているんです。

 

わさび」というと、清流をかけ流すわさび田でつくる「本わさび」をすぐに思い浮かべるかと思います。
根の部分を鮫皮のわさびおろしでおろして、刺身や寿司の薬味に使います。

そして料理店では粉わさびを水で溶いた練りワサビがよく使われ、家庭ではチューブ入りワサビがよく使われます。
あの原料が何かご存知でしょうか。

本わさびじゃないの?・・・と、思うと誤りです。

続きを読む


nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

東京の屋形船 [食文化]

昨日の記事は屋形船での暑気払いでした。
その屋形船のことを記しておきます。

現在の屋形船の歴史は意外に新しいそうです。

江戸時代に船宿や料理屋による「屋根舟(やねぶね)」で町人が舟遊びを楽しむようになりました。
それが明治以降にもありましたけど、戦争でなくなってしまった。
戦後は、釣り船がにぎわうようになります。
ところが水質汚染や埋立て工事などで釣りに陰りが見えた。
1970年代後半、一軒の老舗船宿が木造の屋形船を復活させた。
そしていくつかの釣宿が釣り船を改装して屋形船を始め、1980年代半ばには東京各地の釣り宿が屋形船業を兼業するようになったそうです。(「屋形船の歴史」:http://yakatabune.tokyo/history/


屋形船を復活させた老舗船宿。
戦後の屋形船の先駆けとなった船宿がどこなのか、気にかかるところです。

こうして30年ほど前から屋形船が興隆するようです。

東京の屋形船がどれくらいあるか?

都内には、屋形船の組織が2つあります。
1つは旧江戸川沿いの17の船宿の江戸屋形船組合
もう1つは隅田川、荒川、港湾地区の35の船宿の屋形船東京都協同組合
2010年に両者が連合して東京屋形船連合会ができました。
屋形船を出す船宿は57、屋形船の数は200隻あるそうです。
http://www.yakatabune-kumiai.jp/rengo.html

 

以下は2つの組合の屋形船を出す船宿です。   

edo
江戸屋形船組合の船宿:http://www.edoyakatabune.com/ 

map_2017
屋形船東京都協同組合の船宿:http://www.yakatabune-kumiai.jp/


nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

カレー南蛮や鴨南蛮、南蛮煮、南蛮漬けの「南蛮」とは? [食文化]

きのうの記事に「カレーそば」のことを書きました。

その料理を食べていて疑問に思ったのです。
蕎麦屋ではカレーをかけた蕎麦は「カレー南蛮」と言います。
「カレー南蛮」の「南蛮」とはなんのことだろう?と。
「カレーうどん」と言うけど、では「カレーそば」と「カレー南蛮」とは違うのか

ところで蕎麦屋には、「鴨南蛮」という料理もあります。
「カレー南蛮」は明治時代に誕生した料理ですが、「鴨南蛮」は江戸時代からある料理です。
では、その「鴨南蛮」の「南蛮」と「カレー南蛮」の「南蛮」とは同じなのか?

 

そこで「南蛮」の由来についてネットをググってみると・・・
これがまた納得できない説明がいっぱいなのです。

◇鴨南蛮の「南蛮」についてのネット情報

ネットでは長ネギ唐辛子を使った料理を「南蛮」と呼ぶ、とあります。(wikipediaなど)
「鴨南蛮」について、ネギが「南蛮」と呼ばれたためとか、「南蛮」は「なんば(難波)」に由来するという説明もあります。
しかしどうも納得できません。

色々ググった結果、なるほどそうか!と納得した「南蛮」の由来についてまとめましょう。

 

◆「南蛮」がつく料理

「南蛮」がつく料理をいくつか挙げてみます。

南蛮菓子(カステラ、金平糖など)、南蛮漬け、チキン南蛮、南蛮味噌、南蛮煮。
そして蕎麦屋の鴨南蛮、鳥南蛮、肉南蛮、カレー南蛮。

どれも「南蛮」がついていますけど、その由来はそれぞれ違うのです。

 

続きを読む


nice!(8)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

豚肉・鶏肉の成型肉の実際と表示のガイドラインについて(改正) [食文化]

外食で食べたカツ丼の肉が「成型肉」か否か、ということを記事で触れました。
 ⇒ジャンボかつ丼って、どんなだ?:http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2016-07-09

するとその記事に「そもそも、豚や鶏で成型肉なんて存在しません。」というコメントをいただきました。牛肉には成型肉が存在するけど、豚肉や鶏肉には成型肉なんてない、というご指摘です。
あらま、そうなんでしょうか?(*゚Д゚*)ェ…

ネットで「成型肉」についてググってみると、wikipediaの記事、「まとめ記事」や質問サイトの記事がたくさんあります。
しかしそれらの情報がまた、いいかげんだったり、古かったりしてるんです。
これではいかん。(≧ヘ≦)

なので、成型肉について記事にしました。
 ⇒豚肉・鶏肉の成型肉の実際と表示のガイドラインについて

ところがいかんせん、その記事が不十分だったんです。(反省)
というわけで、ここに新しい記事にいたします。


 

|| 成型肉とは ||


まず、「成型肉」とはなにか。
これがwikipediaの記事を含めて、ほとんどがいいかげん。

「成型肉」とは、小さな肉片を接着剤等とともに「型」に入れて、成型した肉です。

そのほかに次のような処理を行った「加工肉」があります。

インジェクション(脂肪注入肉):針を肉に入れて脂肪等を注入するもの
テンダライズ:細い針を肉に入れて筋や繊維を切断するもの
タンブリング:肉の内部まで調味液を浸み込ませるもの
 (資料:全国食肉公正取引協議会『お肉の表示ハンドブック2015』
   ⇒https://www.ajmic.or.jp/kumiai/2015pdf/2015handbook.pdf


wikipediaはインジェクション(脂肪注入肉)も成型肉だとしていますが、これは誤りです。

 

続きを読む


豚肉・鶏肉の成型肉の実際と表示のガイドラインについて [食文化]

以下の記事は不十分なところがあるので、書き改める予定ですました。
 ⇒豚肉・鶏肉の成型肉の実際と表示のガイドラインについて(改正)

どこが不十分かというと、まずは次の2点です。

  1. 景品表示法の改正について触れていない。
  2. 景品表示法違反の事例の内容が抽象的でわかりにくい。

 


外食で食べたカツ丼の肉が「成型肉」か否か、ということを記事で触れました。
 ⇒ジャンボかつ丼って、どんなだ?:http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2016-07-09

そしたら「そもそも、豚や鶏で成型肉なんて存在しません。」というコメントをいただきました。
牛肉には成型肉が存在するけど、豚肉や鶏肉には成型肉なんてない、というご指摘です。

ご指摘のとおりに豚肉の成型肉が存在しないなら、「かつ丼のとんかつは成型肉か否か」を云々すること自体が無意味ですし、私の記事はありえない疑いをかけた非常に失礼な内容、ということにもなります。

 

ところがどっこい、豚肉(とんかつ)にも鶏肉(チキンカツ)にも、成型肉はありますよ!
ということをその記事のコメントに書きました。

 

外食店での成型肉については、河岸宏和『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます』(2014年、東洋経済新報社)がとりあげています。
激安ステーキ店のステーキ、ファミレスや持ち帰り弁当のトンカツ、安い焼肉店の焼肉(カルビ等)、激安食べ放題店や立ち食いそば店のカツ丼、激安カレー店のカツカレーがその例です。

「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。

「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。

  • 作者: 河岸 宏和
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2014/05/09
  • メディア: 単行本

 

 

ところが、ネットで「成型肉」についてググると、wikipediaの記事、「まとめ記事」や質問サイトの記事があります。
しかしこれらがまた、いいかげんだったり、情報が古かったりしてる。

とんちゃんは、肉の専門家でもなんでもありません。
でも、わかる範囲で簡単に「成型肉」について記しておきます。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:グルメ・料理

七草粥は旧暦1月7日にいただくものではないのか? [食文化]

正月7日には、一年の無病息災を願って「七草がゆ」をいただくという風習があります。
昨日、七草粥をいただいた方々も多いでしょう。

「せり、なづな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」という言い回しで表現される春の七草。
その七草を入れたおかゆを1月7日にいただく、という風習ですが・・・

 ・いつから行われている風習なのか
 ・七草はどんな植物なのか
 ・1月7日はいつのことか

改めて考えてみたいと思います。

 

◆七草の歴史

これについてはこの記事が正確。
 ⇒みんなの知識 ちょっと便利帳「春の七草・春七種」
  :http://www.benricho.org/koyomi/nanakusa.html
 ⇒草と木と花の博物誌「春菜摘みと春の七草」
  :http://www5e.biglobe.ne.jp/~lycoris/haruna-tumi.html 

万葉の時代から「春の菜摘」の風習あり、これは特定の日の行事ではなかった。
百人一首にも「君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ」(光孝天皇)という歌があります。

それが平安時代に中国文化の影響で、人日の節句(1月7日)に「七種菜羹」を食べる風習になる。
それは7種の若菜の羹(あつもの)。あつものとは汁物のことで、7種の若菜の汁物でした。
ただし7種の若菜は特定されていなかった。
これとは別に「七種粥」があって、こちらは米・小豆・大角豆・黍・粟などの7種類の穀類の粥だった。

鎌倉時代以降に、これら2つが融合され、さらに7種の菜が特定されて、現在の七草粥に至っているそうです。

 

◆七草とは

これについても先の記事を参考にします。

せり、なづな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草」という歌になっている七草。

wikipediaによると、室町時代の初期、『源氏物語』の注釈書である四辻善成著『河海抄(かかいしょう)』にこの歌がある、とのこと。
しかし同書にあるのは、「七種 薺(なずな) 繁縷(はこべら) 芹(せり) 菁(すずな) 御形(おぎょう) 酒々代(すずしろ) 仏座(ほとけのざ)」で、順番が違ってます。

室町時代1384年頃に成立した、連歌師・梵灯(ぼんとう)の『梵灯庵袖下集』という連歌の語彙注釈集には、こうあります。
「せりなづな ごぎやうはこべら 仏のざ すずなすずしろ 是は七種」。
今の歌と同じです。

ただしこの頃には、まだ七草の種類は固定してはいませんでした。
それが先の歌のように固定化するのは江戸時代のようです。

さて、先の歌に詠まれたものが「七草」だとして、それらの古名が現在のどの草のことか。
実は必ずしも明確ではないんです。

せり(芹)、なずな(薺)、はこべら(繁縷)の3種は明確で、セリ、ナズナ(ぺんぺん草)、コハコベのこと。

 

しかし残りの4種、ごぎょう、ほとけのざ、すずな、すずしろは、意見が分かれているんです。

ごぎょう(御形)はハハコグサ(母子草)、ほとけのざ(仏の座)はコオニタビラコ(小鬼田平子)とする説が有力。

 

一般には、すずな(菘)はカブ(蕪)、すずしろ(蘿蔔)はダイコン(大根)とされますが、異説があります。

カブとダイコンは、奈良・平安時代に中国から渡来したものなんです。
それが春の若菜摘みに起源する七草のなかに入るのは不自然だ、という指摘があります。
『食べられる野草』の著者・辺見金三郎氏は、「すずな」はノビル(野蒜)、「すずしろ」はヨメナ(嫁菜)としています。
要するに昔から日本にある野草が春の七草だということです。

確かに平安時代の「七種菜羹」には大根とカブは入っていなかったでしょう。
室町時代にもそうだったのかも。
江戸時代にはどうだったんでしょうか?

 

◆1月7日

人日(じんじつ)の節句である1月7日に食べられている七草粥。
しかしこの時期に、上記のような野草たちは生えているでしょうか?

九州や沖縄では生えているかもしれませんが、関東では生えていません。
まだ生えていないから、温かいハウス内で育てられた七草がスーパーで販売されているんです。

それって、ちょっと変じゃない?

この風習は本来は旧暦の1月7日に行われたものです。
旧暦1月7日は、新暦では年によって違いますが、2月の初旬から中旬くらいです。
ちなみに今年の旧暦1月7日は、2月3日です。

あと1か月ほど先に七草粥をいただくのが本来の風習である、ということです。


nice!(10)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:グルメ・料理